ジンメル 近代のずれ、生の葛藤 1

  • 2011.03.26

 ジンメルは生の葛藤が発生する際の共通の逆説的メカニズムを描き出す。 主観と客観  貨幣がより大きな価値を持ち、より多くの、あるいはより広範な人々に使われるようになると同時に、共同体意識は緩み、経済活動が技術的、即物的、客観的な性格を強める。個人と社会のつながりが希薄になるのである。  だがしかし、ジンメルは貨幣による所有と人格の分離よって、「普遍的に人間的なるもの」も発生しえたと主張する。即物的 […]

マクルーハン1

  • 2011.03.26

 ―あらゆるメディアは経験を新しい形式に翻訳する力を持つ能動的なメタファーである。話し言葉は、人がその環境を新しい方法で把握するために、それを手放すことをかなえてくれる最初のテクノロジーである。(マクルーハン Understanding Media『メディアの理解』) ・『グーテンベルクの銀河系』  15世紀なかばにグーテンベルクが活字を発明し、活版印刷術の発明に導いた。この発明がどんな変化をもた […]

『カラマーゾフの兄弟』から 「ゾシマ長老の指摘―ドストエフスキーの科学に対する見方について」

  • 2011.03.25

 さて、ゾシマ長老が修道僧に対して一般の世の中の人々について語るシーンがあります。そこから抜粋。(『カラマーゾフの兄弟(中)』新潮文庫 原卓也訳より)  「彼ら(一般の世の人々)には科学があるが、科学の中にあるのは人間の五感に隷属するものだけなのだ。人間の存在の高尚な反面である精神の世界はまったく斥けられ、一種の勝利感や憎しみさえこめて追い払われているではないか。世界は自由を宣言し、最近は特にそれ […]

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